二回目の入院前々日に支度をしようと
スーツケースを取り出したら、
妻が前もってすべての準備をしており、
看病で大変な中での準備に感謝の気持ちで一杯でした。
最初の入院から数えて7週目になる月曜日からの入院で、
二回目も同様に火曜日から96時間の
抗がん剤点滴治療が始まりました。
前回の病室は13階でしたが、今回は17階に移り
各階同じ場所にある、食堂からの眺めが
絶景とも言っていい位になりました。
前回の入院時は三日目の朝位から
気持ちが悪くなり、健康であれば何でもない距離の、
目と鼻の位置にある食堂に膳を持って
とても行く気になりませんでした。
体を動かさなかった事が要因となって
退院時に辛い思いをしたこともあり、
今回は「できるだけ体を動かそう」と思っていたので
少々気持ちが悪くても、
食事はすべて食堂でとる事にしました。
前回、同室の方は比較的軽い方々だったと
思いましたが、今回同室の方は
転移・再発の方々で
お一人はかなり重篤と見受けられました。
みなさん食事後の膳は、部屋を出たすぐ前の棚に
置きに行っていました。
退院する時になって同室の方からお聞きしましたが、
私が食堂で食べていたのを、どこか遠くへ
食べに行っていたと勘違いしていたようです。
完食を目標にしていたので、
食道のゴロゴロ感は日々増して行きましたが、
退院するまで毎食ほぼ100%で
食べ残すことは殆どありませんでした。
また、一回目の反省を踏まえ便秘に対して
後手を踏まないよう注意を払い何とか乗り切りました。
シャワーや風呂は退院前日まで入れないのを
承知していたので、3日目に最上階にある床屋さんに行き
頭髪の臭いを気にならなくしましたが、
かえってその他の自分の体臭が前回の入院時より
きつく感じるようになりました。
今回の入院で一番の誤算だったのは、
主治医が2日目から出張で不在になった事でした。
入院日程を決めるに当たり、主治医から今週がいいか
次週がいいかとの問い掛けがあり、早い治療を
望んでいましたので迷わずこの週にしましたが、
後になって出張という含みが有った事がわかりました。
主治医不在の間はアシスタントの医師が
任されていましたが、ご自分の存在感を出したいのか
投薬に対していきなり主治医と違った判断を出され、
結果として私の長年の持病である
胃酸の逆流が夜中に起こり最悪の事態になりました。
この件は、投薬を1日だけで元に戻し貰い
その後は事なきを得ました。
また、退院後の診察も1週間ほど先送りになり
不安を抱えたままの退院となりました。
一回目より体を動かしていたとの自負があり、
電車を乗り継いで帰宅しようと病院の玄関を出て
歩き始めましたが、フラフラして
とても歩いて帰れる状態ではないのでタクシーを待って
帰る事にしました。
車寄せにタクシーが待っていなかったので、
係の人が通りまで出てタクシーを拾ってくれ
それに乗ることになりましたが、
客が乗っていない時に喫煙していると見えて
タバコの臭いが充満しており辟易とする思いでした。
車寄せで待っているタクシーと違って運転も荒く、
尚且つ遠回りをしようとしていたので
途中で道を変更してもらいました。
結局一回目と同様で、気持ち悪さとふらつきを
背負ったまま自宅に帰ってきました。