昨年は2月、6月、10月にがん研での定期観察の検査
(喉周辺超音波・上部内視鏡)と診察が有りその都度、
生検が行われ主治医の診察までの間は相変わらず
不安感に包まれておりました。
特に10月の検査では、食道の放射線治療をした場所に
【まだら不染】と言う私には聞き慣れない
現象が起きており検査後の主治医のお話が、
かつてない深刻な内容でした。
【まだら不染】を調べてみると、
食道表面の状態を調べるためのヨードを吹き付けた時、
小さい多数の染まらない場所ができていることを
指します。染まらない場所は正常細胞ではなく、
癌かまたは異形と呼ばれる細胞です。
今回の検査では、この【まだら不染】が
多発しているとの事でした。
生検の結果はグレーゾーンで
差し当たっては問題ないものの、
今後癌化する可能性が大きいと言う内容でした。
同じ10月に国立がんセンターで年に一回の
定期観察の検査(血液・CT)と診察が有り、
総合的には問題は見つかりませんでしたので、
「ほっと」していた所へ持ってきてのお話しだったので
大変なショックを覚え、居ても立っても居られなくなり
国立がんセンターの主治医に
その結果の報告をしましたところ、
さほど深刻な様子でなかったので
少し気持ちが安らぎました。
【まだら不染】に関しては結論として、
次回2月の検査結果を見るまで様子を見る
と言う事になりました。
がん研主治医の深刻なお話の内容とは、
放射線が当たった場所に再発が起きた場合
手術が非常に難しい事と、食道の固くなった壁面を
内視鏡で削った場合、食道の壁に穴が開いたりして
通常の手術と比較して予期せぬ事態が
起こる可能性が高いと言う事でした。
また、まだら不染の原因として
禁酒していないことを挙げていました。
「放射線治療した場合は、量の多少に拘わらず
5年間の禁酒が絶対の条件です!」との事でした。
これまで自分の都合に合わせて、
がんセンターの主治医にもがん研の主治医にも
治療終了後の診察で飲酒に関しての質問を
一切してきませんでした。
同じ放射線治療をした友人(私より8年前)が
治療後すぐにかなりの量のアルコールを飲み始め
現在に至っていると言う事も有り、
都合よく解釈してきました。
主治医の言葉を噛みしめながら、
自分で出した結論は
【飲酒はできるだけ控えめにして、
まだら不染の事はあまり気にせず、
前向きに生活して行こう】でした。
本業で空いた時間にアルバイトをして、
できるだけ忙しくして
【くよくよ考えて日々生活して行く】事を
できるだけさせない様自分に仕向けました。
途中、食道の違和感が何度も出ましたがその都度、
例の【シュプレヒコール】を繰り返し念じていました。
そうこうしている内に2月の定期観察の検査
(喉周辺超音波・上部内視鏡)を迎えました。
3年間の定期観察で二度目となる
『まな板の上のコイの心境』で
恐る恐る検査を受けました。
定期観察の内視鏡検査で生検が無かったのは、
過去の検査で二度しか有りませんでしたが、
今回三度目となる生検無しの結果でした。
検査後にしばらく横になった後、
看護師さんから生検が無かった事を聞いた時は
本当に嬉しく感じました。
しかし、時間が経つにつれて
「まだら不染が多すぎて生検できなかった
のではないか」とか「検査医が若くて
見落としたのではないか」と思う様になり、
またも不安感に包まれてしまいました。
何はともあれ主治医の診察を待つしかないので、
診察までの二週間が大変長く感じていました。
いよいよ検査結果の診察日となり
妻と二人神妙に診察室に入り、
主治医と対面しました。
検査結果は、超音波検査は問題なく両方の手術跡
(下咽頭・食道)もきれいに治っているとの診断で、
放射線跡も問題ないとのお話しでした。
次回半年後の経過観察の検査・診察の
スケジュールを頂き、妻と二人感謝の気持ちを込めて
診察室をあとにしました。
普段でしたら手放しで大喜びするところですが、
前回の診察がかなり深刻だったため
主治医の言葉を妻と反芻しながら、
問題の無いことを確認しながら
ゆったりした気持ちで帰途につきました。