今まで触れなかったこと


がん闘病中から今まで、ここで触れなかった事が
幾つか有りますのでお話ししたいと思います。

一つ目は、最初の治療である抗がん剤治療の
点滴中から始めた心の中のシュプレヒコールです。

それは、病変の有る食道に手を当てて
「“癌”に勝つぞ!」「“癌”細胞に負けるな!」
「“癌”細胞を抹殺するぞ!」とシュプレヒコールを
上げる様にして頭の中で念じていました。

これを退院してからも現在に至るまで、
身体に痛みや何か違和感が出た時に
その場所に手を当てて、
「“癌”の隠れ蓑に騙されるな!」
と言うフレイズを一つ追加して、
事有る毎に繰り返し念じて来ました。

単なる『おまじない』かもしれませんが、私自身は
「自分の細胞に念じた事が伝わって、効果が出ている」
と信じて今後も続けようと思っています。


二つ目はタバコとお酒の事ですが、
40年以上吸い続けて来たタバコは癌宣告を受けた後
抗がん剤治療入院の2週間前で止め、
現在まで一度も吸っていません。

抗がん剤・放射線治療終了後から逆に、
タバコの臭いに非常に嫌悪感を覚えるようになり、
吸いたいと思ったことは一度も有りません。
結果として妻にも「タバコを止めて貰いたい」
と思うようになり、
妻には一か月間非常に辛い思いをさせましたが
禁煙に成功し、私は妻に大感謝しました。

お酒はと言うと、 放射線治療一カ月後の検診で
癌が消えたのをいい事にビールを飲もうとしたら、
食道が沁みてとても飲めるものではありませんでした。

その後四カ月間禁酒し、下咽頭がんのESDが終わって
一か月後になるお正月に
やっとビールを少量飲みました。

しかし次の食道ESDの事を考え再度禁酒しました。

治療最後の食道ESDが終って一ヶ月目位から
食前にビール350mm一缶を飲むようになり、
現在に至っています。


三つ目は、自覚症状に関することです。
自覚症状に関しては、食道がんと診断を受ける以前から
”喉仏周辺や鎖骨”に違和感が有ったことは
最初の項で簡単に触れましたが、
より詳しく触れてみたいと思います。

喉周辺に自覚症状と思われる違和感が出始めたのは、
食道がん宣告時から二年余り前に遡ります。

同じ時期に色々な異変が出始めましたが、
最初の自覚症状は家で鼻歌程度のカラオケ練習を
した後に声が二・三日間ひどくかすれてしまって、
自分のなかでは声になっていないのではないか
と思うほどの現象が始まりでした。

この声のかすれは年齢的なものかもしれないと思い、
その後は歌の練習を止め
声のひどいかすれは起きませんでしたが、
程度の軽いかすれはその後続きました。

暫くして、咄嗟にものを話す時に
最初の言葉が声にならない事が
しばしば起きるようになってきました。

例えば、すれ違い様に『おはようございます』
と声をかけた時に、最初の“お”が音にならないで
? はようございます』と声を発していました。

「何でこうなるのかなぁ?」「年齢的なものかなぁ?」
と自問自答の日々でした。

この時期を前後して、突発性難聴になり
東京警察病院の耳鼻咽喉科を受診しました。
突発性難聴とは関係ないと思いましたが、
耳鼻科の医師にこれらの症状を話し
精密検査を受けた結果は
何の問題も見つかりませんでした。
この時の診察で「声帯周辺が
汚れたようになっているが、
逆流性食道炎の影響だろう」との見解でした。

”喉周辺や鎖骨”の違和感に関してですが、
違和感の出る場所が一定しておらず
周期的に移動していました。

例えば或る時は喉仏と鎖骨の左側で あったり、
或る時は喉の右耳近くと鎖骨の真ん中であったり、
と周期的に変化していました。

翌年も同じ症状が引き続き起きており、
絶対に体に何か異変が起きていると思っている処に、
たまたま風邪が原因と思われる血痰が続いていたので
東京警察病院の呼吸器科を受診した機会に、
これら違和感の症状を話しました。

このことは「ガン宣告」項で触れた通りですが、
診察の予約に三ヶ月位の行列ができている事を
自慢げに話していた、当時内科部長であった
呼吸器専門医のM医師に身体に起こっている症状を
話した処、『検査の方法がない』と門前払いを食らい
翌年に食道がんと診断されるに至った次第です。

同時進行で出ていた違和感としては
もう一つ有りました。

それは、シェイカーを振る動作をした時に喉周辺に
コキコキとした感じで出ていた違和感が有ります。

これは、ジムで運動をした後に飲むプロテイン飲料を
作るために両手でペットボトルをシェイクした時に
いつの日からか必ず出るようになったものです。

この違和感に関しても、
シェイクする度に自問自答していました。

シェイク時の違和感と鼻歌での声のかすれは、
下咽頭ESD後に両方試してみましたが、
ピタリと治まっていました。

喉仏周辺と鎖骨の違和感”
“最初の言葉が音にならない”
症状の出現度合いは、最後の治療である
食道ESD後から少しずつ少なくなり、
ピーク時を<10>とすると
現在は<1~2>程度の出現に なっています。